３周年企画２

□罪のない嘘
仁王 甘？

□罪のない嘘

「嘘ばっかり。」


同じ事件を繰り返すニュースはもう見飽きた。
世界は嘘ばっかりだ。

しかも、


「隣に居るのは詐欺師だし。」
「プリ。」


ため息をついてお茶をすする。
ほーんと、何で仁王なんだろ。


「じゃあ、罪のない嘘ついちゃるよ。」
「…なに？」


さっきまで、意味不明な相づちか柿ピーを摘むかしかしなかったのに。
突然口を開くんだ、この気紛れヤローは。

仁王はゆったりとした調子で言葉を投げかける。
さらに強い視線を寄越してきたものだから、
仕方なく、あくまで仕方なく、望まれた通り仁王に向き合った。



「俺なー、お前さんがちゅーしてくれな息が出来ん。」


子供みたいな甘えた声。
ゆっくり近付いてくる唇は、少し冷たかった。


「…アンタが言うと犯罪くさい。」
「えー。」


だけど、そんな嘘をつけるコイツは可愛いかもしれないと思った。


…まぁ嘘ですけど。